2012年6月20日水曜日

プレーンガット・チェロ そろそろ半年。

そろそろプレーンガットを張ってから半年になる。

経験がない弦の種類で、周りにも経験者が少ないため手探りだ。
合奏団体にいれてもらったけれど、ガット専門のチェロの先生の
下に就かないとわからないだろう。

モダン楽器のガット化にはいろいろ難があるという説がある。
一度だけ馴染みの楽器工房に見てもらったけれど、特に問題無いといわれた。
ドイツの工場製品で、30年前に作られた楽器。昔は高い音が余り魅力的で
なかった。 今は良く鳴るようになって来ている。やはり調整もあるし、
駒がこなれてきたりと色々とある。

ガット弦を張るにあたっても、ヴァイオリンくらいセンシティブなもの
になると、テンションと楽器の反りを調整する必要があるため、一概に
モダン楽器をプレーンガットにすると問題が起きるという話がある。
でもチェロの場合はどうか?

季節の話、まだ夏を越したことがないからエラそうなことは書けない。
でも冬場に比べてコントロールしやすいように思う。多分温度差だろう。
どんなに暑い日でも摂氏50度は超えない。室内は20度以下にはならない。

大体こうなると、楽器は25度から40度の環境に置かれると思われる。
40度というのは、日当たりのいい場所を避けても起こりうる最悪の場合
であってそこまでは上がらないだろう。


弦にとっては、冬場の方が結露したりするために表面に水分を含んで
しまいおかしな状況になる方が辛いと感じた。これは練習場に持ち込んで
暫くは音程が定まらないで困るという経験を冬場続けていた事による。


でも夏場は逆だ。弦は温度が上がっても水分を吸収することは少ない。
今使っているのは、2月くらいに注文して数週間張って使っており、
表面コート(膠水だろう)が剥がれたが、その分オイル漬けにして
しっかり油で染ませてあるプレーンガットなので、水分が吸収される
ことはないとも思われる。結露が起きるとすればエアコンの効いた
部屋から暑い所に持ち出す場合だけれど、練習場所の方が、普通は
湿度が低いと思われるので、それほど差を感じなくなっている。

あとガット弦も少し古くなったので所謂枯れてきた状態なんだろう。
もう少ししたら新しい弦を買い、調整していかないと駄目かもしれない。

夏場、湿り気で、楽器がテンション負けしてオジキをする季節。
逆に冬場は楽器が乾いてテンションに拮抗して反り返る季節。
こんな話を聞いたことがある(説の正しさはわからない)

テンションと音程の関係は、弦の太さと重さに関係するため、
一概に言えないと思うが、明らかなのはプレーンガット弦は
スチールコア弦よりもテンションが小さいってことだ。
これは弦の芯材が軽いためだろうと思われる。その代わり
弦は太くて音量は小さくなる分音色はまろやかになる。

これが露骨に判るのは低音弦。C線などの振幅幅はテンションが低いから
力を入れて擦ると、スチールコアの倍くらい広がってしまう。
あまりに振れ幅が広いため隣の弦を摩したり指板を叩くこともしばしばだ。



一定の材質なら弦の太さ=重さなので 、すべての弦をプレーンにすると
G/Cはおそらくコントラバス弦なみになってしまい操作性が問題に
なるため、重さを加えるために巻線が用いられている。

弦のテンションと楽器の指板の問題はともかく、今は楽器への弦圧力
負担が少ないために、以前より夏冬の変化はないと思う。
無論、楽器職人に楽器を作ってもらっていれば、寸法変化などのいろい
ろ細かいことを聞けると思うが、未だその縁は訪れない。


昨日取り替えてシルバー巻弦と言われる弦。前回の使用後、
油漬にして保存したのだが、緑青が発生してそのままにしていたため
一部が黒緑色になっていた。仕方ないのでコンパウドで磨いたところ、
黒い酸化膜はとれてきたものの、巻は銅芯銀メッキ線だったらしく
赤くなってしまった。安い弦だから仕方無いようだ。

弦の値上がりが噂されている昨今、円高なのに日本から金を絞りたいのか?
ガット弦も自作の道に行かざる得ないか! 実家に弦制作工房を構えるか
真剣に考えてしまう。 まあ、まだ検討の段階。 何時? それ乞うご期待!

2012年2月11日土曜日

GUT!

昨年末にガット弦を張ってはや2ヶ月が経ちます。
どんな感じかと云いますと…

  1. 緩いです
  2. 左手楽です。
  3. 音程に敏感にならざるをえない。
  4. 大きな音、やっぱりでません。
テンションは全般に小さくなります。スチールは弦によるテンションに差があるようですが、すべてガット弦にした場合そういうものがなくなり、均等になります。

奏法に制約があるとすれば「斜めに無理やりテンションを加えるようなスチール弦で使える素早い立ち上がりを狙うボウイング」は全て禁忌です。というか出来ますがノイズがひどくなり使えません。

左手は素早い運指ができるようになります。テンションが小さいのでしっかり押さえるのに力は要りません。逆に生ガットは滑りが悪くなっているので、弦のメンテナンスが重要です。滑りと扱い傷からくる湿気を防ぐために保護オイルはこまめに塗布したほうが良いようです。

音程は、安定してくれば問題がなくなりますが、伸びきってしまうと死んだ音になるのはスチール弦と同じです。ただし生ガット巻線が無い所は傷がつきやすいため、そこが音程面で「スイートスポット」になるか雑音になってしまうか微妙なところです。

既にモダン楽器群の中で演奏会に乗ったりしましたが、安定した弦の状態なら遜色は感じられません。もちろんHIPな演奏に興味があるグループで演奏する方がかき消されてしまうことは無いのでいいと思います。

ヴィブラートに関して言うとユックリと小さな振れ幅しか得られません。元々合奏する際にはヴィブラートを使わなくても響きが豊かなガット弦で使わないほうが良いとされるわけですが。